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BRAIN 2013年第3号(May & June 2013)
13年4月15日発売
A4変型判
価格:本体¥2000+税
ISBNコード:978-4-287-85017-6
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特集これだけは覚えたい! 身につけたい!
   脳神経外科患者の集中治療ケア

企画編集/加藤正哉
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目次[PDF 特集[PDF 連載[PDF 連載[PDF
 脳神経外科には,救急搬送されて入院した患者や,長時間の開頭手術を受けた患者,意識障害のためナースコールすることができないので観察の目が離せない患者など,いわゆる重症患者が少なくありません。術後や院内急変後,重篤な緊急入院など,患者の状態が不安定な場合,多くの病院では一般病棟とは別の集中治療室(ICU)で治療されることが多いと思います。しかし,脳神経外科の患者がICUに入る機会は,脳の病態に対する専門的治療を重要視するあまり,他科の重症患者に比べ少ない印象があります。
 集中治療室(ICU)は,全国の脳神経外科が独立した診療科として診療を開始した時代とちょうど同じころ,1964年に順天堂大学附属病院に開設されたのが日本最初でした。その後,1970年代に全国の病院に普及し,はじめのころは麻酔科の先生方を中心とした術後管理を行う病棟,という位置づけでしたが,集中治療医学会の専門医制度や,日本看護協会が認定看護師・専門看護師制度を確立したこともあって,外科系・内科系を問わずあらゆる重症病態に対する院内の最後のよりどころになりつつあります。
 最近,集中治療の領域では,心肺蘇生法の新しい知見から,呼吸・循環の管理に加えて脳蘇生,神経保護の考え方が広まっています。その結果,これまでは脳神経外科の病棟で管理されていた患者のなかにも,ICUでの治療や,ICUには入室しないまでも,その考え方を取り入れた患者ケアによって,患者の予後改善が期待できる場合があります。日本のICUは施設基準により看護師と患者の比率が1:2と定められていますが,基準を満たさない一般病棟でも,患者ケアの考え方はICUのやり方を応用することができるはずです。脳神経外科病棟では,人工呼吸器や各種のモニターも日常的に使われているので,他の一般病棟に比べると集中治療に対する抵抗感は少ないと思います。そのうえで,集中治療を行っているスタッフがどんな考え方に基づいてケアを行っているのかを知れば,よりよい看護を提供することが可能になるでしょう。
 本号では,神経集中治療という視点から,脳神経外科病棟での重症患者ケアに役立つトピックスを,現場で毎日患者に接している皆さんに執筆してもらいました。ICU入室に関する総論,脳神経系患者の呼吸・循環管理,ドレーンや外減圧に関する一般的な脳神経術後管理に加えて,最近の進歩として,低体温療法,患者の鎮静,ICUでのリハビリテーションなどをわかりやすく解説していただいています。また,看護の視点から,ICUでの患者アセスメントと家族ケアについて,お二人の救急看護認定看護師に執筆していただきました。この特集によって,脳神経外科病棟での重症患者ケアをより身近に感じていただければ幸いです。
加藤正哉
(和歌山県立医科大学 救急集中治療医学講座 教授)
特集
1. ICUの入室基準と脳神経外科疾患の病態/木田真紀,加藤正哉
2. 脳神経外科周術期の呼吸・循環管理/本多 満
3. 脳室ドレーン,脳槽ドレーン,腰椎ドレーン/三河茂喜
4. 外減圧術後の管理/刈部 博
5. ICUで行われる脳神経外科患者に対する脳低温療法/櫻井 淳
6. 意識障害患者に対する鎮静/小田泰崇,鶴田良介
7. ICUでの早期リハビリテーション/幸田 剣,中村 健
8. 開頭術後集中治療患者の看護/日置真弓
9. 脳神経外科集中治療患者の家族ケア/谷島雅子

連載
・ニューロナースの疑問に答える! 脳神経疾患画像診断レクチャー
 第15回 アルツハイマー型認知症/前頭側頭型認知症
 執筆●今井昌康・土屋一洋 企画●土屋一洋
・エッセイ●こころとからだ
 第10回 知っていること・感じること
 内田 都
・主要症例で学ぶ ナースが知りたい! 脳神経外科疾患の病態・治療・術後ケア
 第16回 神経鞘腫(前庭神経鞘腫)
 執筆●松尾孝之 企画●林 健太郎