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BRAIN 1月号
11年12月15日発売
A4変型判
価格:本体¥2000+税
ISBNコード:978-4-287-85005-3
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特集今だから知りたい!
    脳梗塞急性期の血栓溶解療法(rt-PA静注療法)の適正看護

企画編集/山口武典
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目次 特集 連載 連載
 脳梗塞の画期的治療法としてのrt-PA(アルテプラーゼ)による経静脈性血栓溶解療法が,米国に遅れること10年,2005年にようやく日本でも認可されて以来,すでに6年が過ぎようとしています。日本でのrt-PAの用量は欧米諸国の約2/3(欧米諸国の0.9 mg/kgに対して日本は0.6 mg/kg)と比較的少量ですが,日本での認可の基礎となった多施設共同の臨床試験(J-ACT)でも,また市販後に行われた登録調査研究(J-MARS)でも,十分に欧米諸国の治療成績に匹敵することが証明されています。また,症例を中大脳動脈閉塞例に限った検討でも,この用量で十分再開通が得られることも証明されました(J-ACT 2)。
 このように十分に効果が期待される治療法であるにもかかわらず,発症から3 時間以内という時間的制約のため,これまでにこの治療法を受けることができた患者数はそれほど多くありません。大まかな推計によると,日本全国で脳梗塞発症者数の4%前後に過ぎないと考えられています。この数を増加させるためには,?脳卒中発症時の対応に関する一般市民への啓発,?救急隊員による脳卒中の大まかな診断と受け入れ病院への速やかな搬送,?受け入れ病院の開示と体制改善などの対策が必要です。
 このようななか,それぞれの施設で血栓溶解療法が行われていますが,この6年間で色々なことが新たにわかってきつつあります。最初に記載された「禁忌」や「慎重投与」についても,いろいろな症例を経験するなかで,必ずしもそうではないものがあることもわかってきましたし,新たな禁忌あるいは慎重投与を要する症例があることも明らかになってきました(たとえば,解離性動脈瘤)。血栓溶解療法によって劇的に改善する患者さんが5割増しになるというメリットがある半面,一方では血栓溶解薬の副作用で頭蓋内出血を起こして病態が悪化することがあることも否定できません。したがって,適応症例を慎重に選択することがきわめて大切です。
 脳梗塞の治療にはチーム医療が大切であることはすでにご存じのことですが,とくに時間との闘いである急性期血栓溶解療法ではそれが大切です。つまり,専門の病棟(SCUまたはSU)で,専門家チームが治療を行うことによって,患者さんの転帰が大きく変わることはすでに証明されています。治療の適応を決めるのはもちろん医師ですが,患者到着から治療開始まで,さらに治療開始からの数時間は,とくにナースの,患者・家族に対する配慮ときめ細かい観察が,治療方針の決定や変更に大きな影響を及ぼします。
 本特集は「脳梗塞急性期の血栓溶解療法(rt-PA静注療法)の適正看護」というテーマですが,rt-PA静注療法の一般的な解説だけでなく,とくにナースの立場から見た血栓溶解療法について,本療法を積極的に行っている施設の専門の医師,看護師の方々に執筆をお願いしました。読者の皆さんには,この特集を熟読していただいて,1人でも多くの脳梗塞患者さんが社会あるいは家庭に復帰することができるような看護をしていただくことを期待しています。
山口武典
(国立循環器病センター名誉総長/日本脳卒中協会理事長)
特集
1. rt-PAとはどんな薬か?どのような効果が,どの程度期待できるか?/出口一郎,棚橋紀夫
2. 虚血性脳卒中にもいろいろある/藤本 茂
3. 脳卒中は時間との戦い─治療適応患者を増やすためにできること/竹川英宏,中山博文
4. rt-PA静注療法のメリットとデメリット/井口保之,木村和美
5. SCU/SUとストロークチーム/竹末のり子
6. rt-PA療法における看護師の役割/松本由美
7. 看護師から見た院内体制構築/柳田智子
8. 血栓溶解療法中(rt-PA点滴静注)や治療後の問題点
   /筒井三記子,清水周二,前川雄三,松尾和美,矢坂正弘
9. 適正使用に向けてのガイドラインの要点/長尾毅彦
10. 欧米諸国での取り組み─rt-PA療法における看護師やコーディネーターの役割/古賀政利,上原敏志

連載
・ニューロナースの疑問に答える! 脳神経疾患画像診断レクチャー
  第3回 くも膜下出血と脳動脈瘤 片錫七朗・土屋一洋 企画●土屋一洋
・エッセイ●笑顔と脳 第5回 笑顔エクササイズ 内田 都
・主要症例で学ぶ ナースが知りたい! 脳神経外科疾患の病態・治療・術後ケア
  第5回 急性期脳梗塞に対するrt-PA静注療法 堀江信貴 企画●林 健太郎