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WOC Nursing 第101号(Vol.10 No.4 2022)
A4変型判
2022年7月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73101-7
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特集透析患者のスキントラブルとその対策
企画編集/加納智美(地方独立行政法人 桑名市総合医療センター 血液浄化療法部)
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 日本の透析患者数は年々増加し,2020年末の調査では累計総透析患者数は34万7671人で,平均年齢は69.40歳と徐々に高齢化も進んでいます。また透析歴が25年以上の患者も1万5484人と増加しており,透析医療の発展は,多くの合併症対策に成果を上げ,透析治療の長期化につながっています。
 皆さんは原疾患や生活背景,年齢など患者の症状や状態にあわせて透析療法の工夫や治療を行っているのではないでしょうか? しかしながら,これだけ透析医療が進歩しましたが,まだまださまざまな特有の合併症を全身に起こします。また高齢化も進み,加齢に伴う身体的変化は合併症を増長させます。
 たとえば,皮膚症状のひとつである「乾燥」は,透析患者の約9割に認められますが,命にかかわることが少ないため,軽視されがちです。しかしながら,その乾燥から引き起こされる「かゆみ」という症状は,不快感やイライラ感,不眠だけでなく,掻いてしまうことで傷ができ,その傷が感染してしまったり,なかなか治らなかったりと臨床では困ることが多くあります。
 また,透析治療を受ける前の腎不全のときから約25%の人に末梢動脈疾患(peripheral arterial disease;PAD)がみられ,その疾患は透析導入後,さらに増加していきます。その疾患になってしまうと,足にできたわずかな傷が徐々に潰瘍となり,その潰瘍は血流がないことで治りにくく,切断に至ってしまう場合もあり,生活の質を大きく下げることになります。
 患者が,いつまでも元気で最期まで歩いていることができるよう,日頃からどうすればいいのでしょうか。透析に関わる看護師として,必要な皮膚の観察,ケアの実際などを内容に構成しました。皮膚の病態などをしっかり理解して,よりよい透析医療が提供できる一助になれば幸いです。

加納智美
地方独立行政法人 桑名市総合医療センター 血液浄化療法部
1. 透析患者によくみられる皮膚疾患/長壁美和子
2. 透析患者の皮膚の特徴/市川美代子
3. 透析患者における血流障害と皮膚病変/坂田久美子
4. 透析患者の足病変予防のためのフットケア/愛甲美穂
5. 透析とかゆみ,その対策/安藤恭代
6. 透析患者のスキン-テアのポイント/森 淳一
7. 透析患者と褥瘡ケア/城田朋美
8. 足病変を有する透析患者に適した理学療法/荒川優也