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MEDICINAL3月号
MEDICINAL 2012年3月号

2012年2月27日発売
A4変型判/144頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-84006-1
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特集COPD薬物療法の新展開

企画編集/永井厚志
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目次 特集 特集 特集
 COPD(慢性閉塞性肺疾患)は,患者数の増加とともに死亡数も増す一方である.本症の発症,進展には喫煙習慣が深くかかわっているが,タバコの値上げにもかかわらずタバコの消費量は一向に減少していない.このような状況に加えて高齢化社会が一段と進行している日本が,近い将来直面する多大な本症患者に対する治療やケアを考えるとき,必要とされる医療費が甚大となることは容易に想像される.このような疾患に対し,日本呼吸器学会から2009年にCOPDガイドライン第3版が上梓され約3年が経過するが,この間に薬物療法の臨床成績や新規薬物の開発も相まって,COPDの治療戦略を提示する診療ガイドラインも単なる薬物の情報提供ではなく,患者に対する個別的な至適治療への提言へと内容を深化させることが求められている.すなわち,より実際の日常診療に即した患者本位の治療法実施へと大きく舵が切られ,臨床医はその結果を求められる時代に入りつつある.ところで,COPDは恒常的な気流閉塞を示す疾患として定義されているが,もとより肺や気道の複合病変・病態の包括的あるいは症候群的診断名である.したがって,どのように疾患を捉えるべきかの視点が重要である.その観点から本症を俯瞰したときに浮上してくる治療にかかわる問題点を列記すると,(1)安定期薬物療法の位置づけ,(2)表現型(Phenotype)に伴う治療法の選択,(3)Overlap airway syndrome(COPDと喘息の合併病態)や全身併存症との考え方と治療,(4)進行したCOPD患者に対する対応などが挙げられる.これら諸問題のどれひとつをとっても,未解決のままとなっている重要な課題である.治療薬に関しては,強力で長時間にわたり作用が持続する気管支拡張薬が本症治療の主役であり,これらに位置づけられる新規薬剤がさらに開発されて近い将来に臨床応用される段階である.さらには,COPDが慢性炎症性疾患であることを踏まえ,進行抑制を目標として抗炎症作用を示す薬物開発の期待も高まりつつある.COPDの表現型については,日本でX線検査が多く施行されていることより,日本のガイドラインでは気腫型COPDと非気腫型COPD(X線画像で肺気腫陰影がみられない例)に分類されている.この分類の意図は,それぞれの表現型における病態解析が不十分で,治療法の妥当性が検証されていない現状に根ざしている.さらには,国外ではCOPDと喘息の合併病態がみられる患者数が,閉塞性換気障害高齢者の半数にも達することが推定されているものの,日本におけるその実態は不明であり治療法は確立されていない.また,併存症として心不全に対するβ遮断薬の使用は国外の一部ガイドラインでは推奨されてはいるものの,日本では臨床研究が乏しく,確立された治療法とはなっていない.これら課題は臨床現場で日々直面しているが,試行錯誤での治療になっている可能性が高い.ましてや,終末期のケアや治療ともなるとまったくの手探り状態か,経過観察に終始しているのが実態であろう.本特集号では,このようなCOPDにかかわる多岐にわたる病態への薬物療法に焦点をあて,最新情報を提供することにより,個々の患者に最適な治療を実践していただく手がかりになることを意図し,治療のトピック,ノウハウについて専門家に解説していただいた.本書が,日々のCOPD臨床でよりよい成果を得られるための一助になればと願っている次第である.
永井厚志
(東京女子医科大学 第一内科学講座 主任教授,日本呼吸器学会 理事長,本誌編集委員)
特集:COPD薬物療法の新展開
1.COPDにおける薬物療法の位置づけ/青柴 和徹
2.禁煙と薬物療法/西 耕一
3.症状,QOLのための薬物療法/松瀬 厚人
4.疾患進行に対する薬物療法/星野 友昭 他
5.増悪抑制に対する薬物療法/井上 博雅 他
6.生存延長を目指しての薬物療法/瀬戸口靖弘
7.悪化時の薬物療法/蝶名林直彦
8.薬物の特徴と使用法
1)気管支拡張薬/杉浦 久敏
2)ステロイド/室 繁郎 他
3)ステロイドLABA配合剤(ICS+LABA)/金子 教宏
9.併存疾患に対する薬物療法/山口佳寿博
10.喘息合併COPDの薬物療法/相良 博典
11.新規薬剤インダカテロール/平田 一人
12.開発が期待される薬物/植木 純 他

新連載
・聞きたい!気になる新薬
企画:北田 光一
第1回:長時間作用性吸入気管支拡張剤インダカテロールマレイン酸塩吸入用カプセル「オンブレス(R)吸入用カプセル150μg」/中村 裕義 他