
特集●超高齢社会で待ったなし! 女性下部尿路症状のケア
| 企画編集 | :加藤久美子 |
|---|---|
| 発行 | :2026年1月 |
| 判型 | :A4変型 |
| 頁数 | :88 |
| ISBN | :978-4-287-73123-9 |
| 定価 | :2,750円(本体2,500円+税10%) |
特集にあたって
下部尿路症状は性差が大きく,日本排尿機能学会から『女性下部尿路症状診療ガイドライン』という男性とは別のガイドラインが出ています。日本は世界に先駆けて2007年に65歳以上の人口が全人口に対して21%を超える超高齢社会へと突入し,女性下部尿路症状を「おばあちゃんのつまらない病気」といっていられなくなってきました。
女性尿失禁のサブタイプ,腹圧性,切迫性,混合性のうち,切迫性と混合性は加齢とともに増加します。過活動膀胱・切迫性尿失禁は薬物治療が中心でしたが,ポリファーマシーによる抗コリン薬リスクスケール,口内乾燥,便秘,認知障害といった副作用が問題になり,「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」でβ3作動薬が推奨されるようになりました。行動療法,薬物療法をしても難物の難治性過活動膀胱の対処として,ボトックス膀胱壁注射や仙骨神経刺激療法(SNM)が保険適用となりました。夜間頻尿は生活への影響が男女ともに最も大きく,転倒のもととなります。過活動膀胱,夜間多尿,睡眠障害など複数の要因が関与しているため,支援が大切です。腹圧性尿失禁の問題に絡んで,骨盤底の緩みから腹圧(咳,起立)で誘発される尿意切迫感,咳関連排尿筋過活動(CADO)やstand up urgencyも話題になってきました。骨盤臓器脱は排尿困難,過活動膀胱,腹圧性尿失禁と多彩な症状を伴います。理学療法,ペッサリー自己着脱,サポート下着,高齢者の手術では腟閉鎖術,経腟メッシュ手術(TVM)も使われます。低活動膀胱は膀胱平滑筋の収縮力障害を反映する症状と考えられ,加齢・フレイルで増加します。低活動膀胱は過活動膀胱を伴うことが多く,蓄尿症状だけの訴えでも排尿症状の問診や残尿測定を行い見逃さないことが大切です。泌尿器科医界のエースに健筆をふるっていただきました。
WOCナースの出番としては,まずは排尿日誌・残尿測定が基本です。排尿自立支援加算の新設でアセスメントの機会が増えました。排尿ケアチームは,看護師,理学療法士,医師などが多職種連携で,「尿道カテーテル」を抜いて自立を促す仕組みになっています。理学療法士の排尿ケアチームにおける役割,ウロギネセンターでの骨盤底筋トレーニングについて記載してもらいました。清潔間欠導尿(CIC)は排尿(尿排出)障害に対する究極の方法です。高齢だからできないと決めつけず,高齢女性に受け入れやすい指導のポイントをつかんでください。パッド・おむつ類は適切な交換頻度を守り,体にしっかりフィットさせて装着すること。失禁関連皮膚炎(IAD)の改善には陰部洗浄や清拭といった皮膚の清潔ケア,保湿保護剤の活用も大切です。そして,災害時のトイレ問題,“命と尊厳を守るために”という副題がついていることからわかるように,災害時は発生直後から切れ目のないトイレ対応が重要で,遅れは健康被害やストレスを招きます。
WOCの使命はW(wound)=創傷,O(ostomy)=ストーマ(人工肛門,人工膀胱),C(continence)=禁制(尿・便が保持できる)です。点数が低いからといって,大川あさ子先生が言ったようにcだけ小文字にしないでください。
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