HOME雑誌WOC Nursing > WOC Nursing 23年3月号
WOC Nursing 第107号(Vol.11 No.3 2023)
A4変型判
2023年4月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73107-9
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特集小児WOCケアのエッセンス
企画編集/鎌田直子(兵庫県立こども病院 看護部,皮膚・排泄ケア認定看護師)
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 小児の排泄障害は主に先天性疾患に起因します。成長・発達は小児の重要な特性であり,排泄障害に対するケア内容と,子どもと家族がかかえる葛藤は成長の各時期に変化します。
 小児期のストーマ保有者数は,成人に比べて少なく,最近では,先天性の疾患や悪性腫瘍・外傷などの外科治療が年々進歩して,ストーマを作成せずに根治術を実施する方法が開発され,排便・排尿のための一時的ストーマをもつ小児の数はさらに少しずつ減少しています。一方,長期あるいは半永久的にストーマを必要とする疾患の子どもも少なからず存在します。対象者が少ないため,子どもと家族同士が情報の交換ができ,同じ立場の仲間と交流することでお互いを支援できる患者会は大きな役割を果たしています。
 排泄障害は子どもの自尊心や子どもと家族のQOLを低下させやすいため,医療提供者は成長・発達を見越して問題を提起し,時期や方法など適切に対応することが重要です。排泄管理や指導が適切に行われなければ,社会生活を営むうえでの排泄のマナーが十分に習得されないまま集団生活に入り,アクシデントが起こる危険性が高くなります。
 小児の排泄指導には,子どもと家族,医療従事者すべてが,長期にわたる継続した根気強い関わりが必要です。子どもの積極的な行動やちょっとした効果に対するほめ言葉,賞賛の態度などで喜びを共有し進めます。また排泄の問題は非常にデリケートであり,関わる際には子どもと家族との信頼関係を築き,プライバシーに配慮することが大切です。
 創傷分野では,非常に脆弱な皮膚をもつ低出生体重児のスキンケアや,成人と比較して発生の多い医療関連機器圧迫創傷などは,小児特有の問題として広く認識されています。しかし,小児の褥瘡対策において医療関連機器圧迫創傷を除いた自重関連褥瘡は一般にはそれほど注目されることはありませんが,小児に携わる医療の現場では課題が多くあります。小児における褥瘡ケアの対象は1000 g未満の超低出生体重児から成人同様の体格となる学童期まで幅広く,成長に伴い褥瘡の好発部位が変化するという特徴もあります。褥瘡発生リスクの高い対象者は,低出生体重児,周術期の体位変換制限のある患者,二分脊椎患者,重症心身障害児などさまざまです。そして褥瘡ケアは入院中だけでなく,在宅でも必要となります。小児は褥瘡ケアの対象者数が少ないことから,体圧分散寝具などケア用品が成人のように充実していません。また,在宅で褥瘡予防マットを使用する場合の助成制度も十分であるとはいえません。
 今回,このような小児のWOCケアのエッセンスについて特集しました。まず,小児皮膚科の第一線で活躍されている医師に小児の皮膚の特徴とスキンケアについてご執筆をお願いしました。そして小児に携わる経験豊富なWOCナースに,ストーマケア,排泄ケア,創傷ケアそれぞれにご執筆をお願いしました。
 この特集が読者の皆さまのWOCケアの一助となれば幸いです。そしてWOCケアを必要とする子どもと家族のQOL向上に少しでも寄与できることを願います。

鎌田直子
兵庫県立こども病院 看護部,皮膚・排泄ケア認定看護師
1. 小児の皮膚の特徴とスキンケア/吉田和恵
2. 低出生体重児のストーマケア/中村雅恵
3. 一時的にストーマを保有する小児と家族へのケア/齊藤 芳
4. 永久的ストーマを保有する小児と家族へのケア①/松尾規佐
5. 永久的ストーマを保有する小児と家族へのケア②〜小児オストメイト患者会の果たす役割〜/松尾規佐
6. 小児でよくみられるストーマ合併症とケア/阿部 薫
7. 神経障害のある小児の排泄ケア〜二分脊椎患者の排泄(排便・排尿)ケア〜/末吉康子
8. 神経障害のない小児の排泄ケア/上條みどり
9. 小児の自重関連褥瘡ケア/長田華世子
10. 小児のMDRPUのケア/奥田裕美