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WOC Nursing 第104号(Vol.10 No.7 2022)
A4変型判
2022年11月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73104-8
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特集難治性糖尿病性足潰瘍をどう治す?! 具体的に教えてその治療とケア
企画編集/田中里佳(順天堂大学医学部附属順天堂医院 足の疾患センター センター長/順天堂大学大学院 医学研究科 再生医学 主任教授/順天堂大学 医学部 形成外科学講座 教授)
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 日本でも食生活や生活習慣に伴い糖尿病患者が増加の一途を辿っており,それに伴って合併症の1つである足潰瘍・壊疽も増加の傾向を示しています。糖尿病を発症した場合,その患者の生涯において足潰瘍を発症する割合は4〜25%と高く,糖尿病性足潰瘍患者においては潰瘍が治癒しない場合,潰瘍発症後約7〜20%が最終的に下肢切断となります。また下肢切断に至った場合,糖尿病性足潰瘍患者のQOLは著しく低下し,下肢切断後の5年生存率は約30%と一部の悪性腫瘍より低く,生命予後の悪化が問題となっています。私たち医療従事者は適切な糖尿病性足潰瘍の診断,治療と予防に関する知識を十分に身につけることが,糖尿病患者の救肢につながると考えます。
 糖尿病性足潰瘍の原因は大きく分けて,血行障害に起因する場合と神経障害に起因する場合があります。本特集においては,血行再建が実施され,十分な血流が創傷に認められる神経障害が主な原因の糖尿病性足潰瘍に焦点を当てて構成しています。神経障害に起因する糖尿病性足潰瘍は,虚血や感染がなく,末梢神経障害により足の変形や皮膚の異常により足潰瘍が生じている潰瘍を示します。これらの潰瘍の治療方針を決定するうえで最も必要なのは,足と患者のアセスメントを十分に行うことです。神経障害はハンマートゥ,クロウトゥを生じ,これらの変形から靴ずれなどを起こし,潰瘍を形成しやすいです。また,自律神経障害は皮膚の乾燥や亀裂,シャルコー変形,胼胝などを生じ,病状が悪化すると潰瘍化するため,足変形の知識,足のスキンケアとフットケアとフットウェアによる除圧や免荷などの知識も重要となります。アセスメントを行ったうえで治療方針を決定し,他業種と構築したチーム医療を実践しながら適切な治療を行うことが,足を温存できる治療につながります。また創部に十分な血流が確保できている創傷においては,適切な創傷管理を行うことが重要であるため,本特集においては,創傷管理のUpdate情報と患者とともに行うWound Hygieneについて紹介します。さらに,足部潰瘍では,歩行や荷重などを考慮した足病学(podiatry medicine)を理解したうえで治療を実施しなければ,適切な創傷管理をしても治癒が得られません。これらを知っていただくため,足病学を鑑みた創傷管理の方法であるiTIME-DOを紹介します。そのほか,足部変形の診断と治療,免荷療法とリハビリテーション,そして再発予防のための患者教育など足病学を踏まえた神経障害性糖尿病性足潰瘍を治療するために必要な情報を総合的に紹介し,日々の診療にお役立ていただきたいと考えます。

田中里佳
順天堂大学医学部附属順天堂医院 足の疾患センター センター長/順天堂大学大学院 医学研究科 再生医学 主任教授/順天堂大学 医学部 形成外科学講座 教授
1. 糖尿病性足潰瘍のアセスメント/橘 優子,田中里佳
2. 正しくできている? 創傷管理。適切な創傷管理とは?/綾部 忍
3. 患者とともに実践するWound Hygiene/辻 依子,寺師浩人
4. 糖尿病性足潰瘍の新たな治療の型(フレームワーク)「iTIME-DO」/菊池 守
5. 免荷療法とリハビリテーションの実際を教えて〜免荷療法とリハビリテーションの良好な相互関係が重要です〜/寺部雄太
6. 予防的足変形手術っていつやるの?/菊池恭太,高岡聡美
7. シャルコー足ってなに? 治るの?/早稲田明生
8. 骨髄炎を伴った糖尿病性足潰瘍はどうしたらよい?/藤井美樹
9. 正しい靴の作り方と履き方/上口茂徳
10. 再発予防〜患者とともに行う糖尿病足病変管理のコツ〜/愛甲美穂