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WOC Nursing 19年11月号
A4変型判
2019年11月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)ISBNコード:978-4-287-73072-0
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特集WOCが知っておきたい 難治性皮膚疾患の知識とケアのコツ
企画編集/小川尊資(順天堂大学 医学部 皮膚科学教室 准教授)
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 今日,皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)の仕事は多岐にわたります。患者の全身・局所のケアのみならず,他の職種間の橋渡しという重要な役割も求められています。今回の特集ではWOCが知っておきたい“難治性皮膚疾患の知識とケアのコツ”と銘打ち,出会う機会は少ないけれど重要な疾患を序盤にまとめました。先天性表皮水疱症,自己免疫性水疱症,糖尿病,膠原病のスキンケアは,個々の状態によって異なり,患者は乳幼児から高齢者まで幅広く存在します。一般的に,褥瘡とは異なるマネジメントを求められることも多く,医師とWOC間での疾患理解の共通化は円滑な治療において重要なポイントです。また,これらの疾患に,細菌や真菌の感染が併発することもあります。細菌や真菌の二次感染が加わることにより,原疾患が悪化したようにみえることもあります。二次感染を伴うことで,治療が難渋することもあります。そのため,皮膚処置の際には,感染症の併発も念頭に観察することが必要なため,それらの疾患についてもまとめていただきました。
 また,糖尿病性潰瘍の治療では複数の診療科の連携が一般的となり,栄養管理や装具などの介入も行われ,他職種の幅はさらなる広がりをみせています。
 いまやWOCは自分の領域の知識だけではなく,チーム医療に関わる医師,栄養士,義肢装具士,地域のケアマネジャー,訪問看護師の考えを理解し,患者自身が何を求めているのかを認識し,医学的・社会的に理解しフィードバックすることが求められています。それらを可能にするには,本特集の専門的な難治性皮膚疾患の概要を理解し,医師と看護師の間で連携できること,また栄養士や義肢装具士と情報をきちんと共有し相互理解することが必要です。この特集を手にとったWOCは大学病院,市中病院,または在宅医療を含めた開業医など,それぞれの場所でご活躍のことと思います。所属する医療機関によって,実際に可能な治療も,処置に使用できる医療資源にも差がありますが,患者に密接に関わり,患者自身のニーズを理解できる重要な立場であることには変わりありません。
 WOCが関わる患者は,家族,ケアマネジャー,訪問看護師など複数の職種,数多くのメンバーの連携が重要です。数多くの人が関わると,思わぬコンフリクトマネジメントを求められる局面が必ず訪れます。このような問題を乗り越えるためにも,本特集を通して職種の垣根を越え,互いの知識を深め,患者やその周囲で生じる「理解度の差」を埋めるコツ,自分たちの考えを患者にも平易に伝える際のコツをつかみ,“WOCが知っておくべき難治性皮膚疾患の知識とケア”を自分のものとしていただければ幸いです。

小川尊資
順天堂大学 医学部 皮膚科学教室 准教授


1. 先天性表皮水疱症,自己免疫性水疱症の臨床/古賀浩嗣
2. 先天性表皮水疱症,自己免疫性水疱症のスキンケア/海田真治子
3. 膠原病の特徴的な皮膚症状と基本的な治療法/深井達夫
4. 膠原病のスキンケア/貴田寛子
5. 知っておきたい真菌・細菌感染症の皮膚/小川祐美
6. チームでみる糖尿病性足潰瘍/田中里佳
7. 下腿難治性潰瘍におけるデブリードマンのポイント/福田太郎,田中里佳
8. 難治性足病変における外来でのスキンケア指導のコツ/橘 優子
9. 皮膚疾患を改善するための装具と皮膚トラブル発見のコツ/寺門厚彦
10. 装具製作,患者と医療者をつなぐコツ/関根賢司
11. 創傷治癒がひときわよくなる栄養管理のコツ/榎本真理
12. 在宅でみる難治性皮膚疾患ケアのコツ/水上潤哉