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WOC Nursing 14年8月号 |
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A4変型判
価格:本体2,000円+税 ISBNコード:978-4-287-73011-9
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特集●高齢者排尿障害のアセスメントと対処〜適切な排尿ケアの普及・啓発のために〜 企画編集/後藤百万
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日本は急速なスピードで,世界に類をみない超高齢化社会に突入しようとしており,急速な社会の高齢化はさまざまな社会構造の変化を引き起こし,いろいろな領域で超高齢化社会を先取りした対応が求められています。高齢者における排尿障害の頻度は高く,60歳以上の男女の約78%がなんらかの排尿症状を有し,尿失禁については,現在約600万人,10年後には1000万人に達すると推計されています。近年の排尿障害に対する診断・治療の進歩や啓発により,排尿障害以外はおおよそ健康であり,通院可能な高齢者については,患者さんが希望すれば専門的な検査・治療の機会を得ることは容易で,良好な治療効果が得られます。他方,老人施設に入所,あるいは在宅看護を受ける高齢者については,排尿障害の頻度は高いにもかかわらず,十分な評価や治療を受ける機会が得られず,安易なおむつ使用や尿道カテーテル留置を受けていることが少なくありません。また,高齢者排尿ケアに関する実態調査により,不適切な排尿ケアは老人施設入所や在宅看護を受ける以前,すなわち病院入院時に始まると報告されています。排尿障害は,多くは生命に直接関わることはありませんが,高齢者の尊厳やQOLを障害するものであり,介護保険制度も導入され,高齢者のQOL向上のための施策が進められている現状にあって,適切に対処されるべき問題です。また,排泄障害は介護負担を増加させ,生活の質を阻害し,介護放棄にもつながる問題となっています。不適切な排尿ケアは,寝たきり状態や認知症の助長,治療機会の喪失につながり,逆に積極的な排泄ケアは生活の質の改善,心身機能の改善をもたらし,介護予防につながる排泄リハビリテーションとして位置づけることができるでしょう。
排尿ケアは,病院,老人施設,在宅における看護・介護の現場において,QOLの保持,さらにいえば人間の尊厳の維持のために最も重要な事項ですが,適切な排尿ケアを行うためには,下部尿路機能障害の病態,身体運動機能,認知機能,環境要因を含めた排尿障害に関わる要因のアセスメントを正しく行い,適切な対処を実践することが求められます。また,排尿ケアの実践には多職種連携が必須となりますが,これらの連携のなかで,専門知識と技術を身につけた看護師の役割は非常に重要で,大きなものと考えられます。本特集では,排尿ケアに必要な,高齢者排尿障害の病態,アセスメント,適切な対処に関する基本知識について,経験豊富な専門家に執筆していただきます。看護師の皆さんが,高齢者の排尿ケアに関わるとき,本特集がお役に立てば望外の喜びです。
後藤百万(ごとう ももかず)
名古屋大学大学院 医学系研究科 病態外科学講座 泌尿器科学 教授
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1章 高齢者排尿ケアの現状 後藤百万
2章 高齢者排尿障害の病態と症状 吉田正貴
3章 排尿日誌,残尿測定による排尿アセスメント 谷口珠実
4章 適切なおむつ選択と使用法 渡邉順子
5章 清潔間欠(自己)導尿の適応と指導法 田中純子
6章 尿道カテーテル留置・経皮膀胱瘻の適応と管理 馬場真子
7章 高齢者排尿ケアにおける飲水指導の重要性 岡村菊夫
8章 高齢者排尿障害の薬物治療 横山 仁・石塚 修
9章 転倒と排尿障害 平松知子・正源寺美穂
10章 病院から在宅へ:地域における排尿ケア 永坂和子
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