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WOC Nursing 14年4月号 |
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A4変型判
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-73007-2
全ページカラー印刷
特集●特殊ユニット,他のチーム医療から考える褥瘡ケア 企画編集/大浦紀彦
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最近,褥瘡に関して新しいことを見つけて発信することが難しくなっています。褥瘡対策未実施減算など厚生労働省の働きかけによって褥瘡が社会的に認知され,病院にとっても褥瘡を予防することや治すことに積極的に取り組むことが,他の疾患と同様に当たり前になりました。褥瘡対策が義務となった今,病院が褥瘡対策に予算をつけるようになり,その結果,病院で褥瘡対策や褥瘡治療を行う環境は,10年前よりはるかに改善しています。看護師にとって褥瘡は一般的な知識となりました。このように,「何か新しいこと」を見つけることが難しい環境では,基本に立ち返ることのほうが重要です。
10年前は,どうやって褥瘡対策チームを立ち上げるのか,活動をどう行うかなどが課題でしたが,今や褥瘡対策チームはほとんどすべての病院に設置されています。そのようななか現在の褥瘡治療のトピックは何でしょうか。
日本褥瘡学会の真田弘美理事長は,「TEAM 2011」を提唱されたことがあります。そこで課題とされた「TeamとAlliance」は褥瘡だけに限ったテーマではなく,超高齢化社会となった日本の医療現場が抱える問題点(医師不足,医療従事者の疲弊など)を解決する突破口になる可能性を秘めています。医療スタッフが専門性を活かすスキルミックス,横断的医療,いわゆるチーム医療が,日本の医療問題を解決する糸口になる,いや,もうこれしか方法がないのかもしれません。そこまで現在の日本の医療は追い込まれています。
そこで本特集では,「褥瘡対策チームのさらなる拡大と他チームとの連携・同盟(アライアンス)」を隠れたテーマとしました。今後の褥瘡対策チームは,活動内容を他の横断的チームとオーバーラップさせていくことが重要です。たとえば褥瘡対策チームの半数近くは,低栄養状態にあり,NST(nutrition support team)の対象となる患者を扱います。今までのチーム医療では,褥瘡対策チームに栄養士が入っているのでコメントをもらえばいいという程度でしたが,より積極的に,褥瘡対策チームがNSTと同盟を結ぶことによって,積極的な創傷治癒を促進する栄養治療を行うことができるようになります。
現在の褥瘡対策チームはWOC ナースを核として活動を行っているため,WOC ナースが他のチームとの協力関係をいかに構築できるかがチーム医療の鍵となります。そのために,今までの創傷,オストミー,失禁以外の多くの知識を吸収する努力が不可欠です。
他のチームやさまざまなユニットとのかかわりあいのなかでWOC ナースが新しい何かを求めて活動を始めることを後押しができる企画を考えました。創傷・オストミー・失禁とは違う領域から,WOC ナースにとっても,わくわくするような刺激のある情報を提供できるよう,各ユニットの特殊性と褥瘡のことを執筆できるエキスパートを探しました。本特集は「特殊ユニット,他のチーム医療から考える褥瘡ケア」をテーマとし,他の横断的医療チームから,通常の褥瘡対策や創傷ケアの概念とは異なった考え方を提示します。拡大型の「TeamとAlliance」の核となる,一歩進んだWOC ナースをめざすきっかけになれば,企画者としてこのうえない歓びです。
大浦紀彦(おおうら のりひこ)
杏林大学 保健学部 看護学科 病態学,同大学 医学部 形成外科 兼担教授
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特集
1章 緩和ケア病棟における褥瘡ケア 祖父江正代
2章 手術室 大浦紀彦
3章 クリティカルケア 志村知子・村上正洋
4章 麻痺,拘縮のある患者の褥瘡ケア〜脳卒中病棟〜 杉元雅晴・前重伯壮
5章 脊髄損傷者の褥瘡対応〜リハビリテーション病院〜 廣瀬秀行
6章 小児専門病院 鎌田直子
7章 在宅:新制度活用の現状と課題 後藤茂美
8章 NSTの見地からみた褥瘡 丹波光子
9章 ICTの観点から考える褥瘡対策チームが注意すべきことがら〜 古谷直子
10章 褥瘡対策チームのなかでの特定看護師の可能性 竹之内美樹・溝上祐子
11章 チーム医療を推進する看護者としての取り組み 間宮直子
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