HOME雑誌月刊糖尿病 > 月刊糖尿病142号(Vol.14 No.2, 2022)
月刊糖尿病 142号
月刊糖尿病143号(Vol.14 No.3 2022)

A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-82140-4

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特集●糖尿病患者の心・腎・肝を診る11のポイント

企画編集/土屋恭一郎

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 糖尿病治療の目標は,合併症の阻止および抑制により,糖尿病患者に健康な人と変わらないQOL(生活の質)と生命予後を確保することである.心血管疾患と糖尿病性腎臓病の予防は,この目標を達成するうえで極めて重要な中間目標であることはいうまでもない.さらに近年は,2型糖尿病において非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の罹患率は最大70 %に達し,2型糖尿病は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に進展する強力な危険因子であることも明らかとなっている.肝疾患も糖尿病の合併症の1つとして認識されつつある昨今,糖尿病患者のQOLと生命予後を見据えたトータルケアを実践するためには,血糖値や各種危険因子の管理のみならず,「心・腎・肝」も診るスキルが必要とされている.加えて,腎機能の低下が心血管疾患のリスクとなり,心血管疾患もまた腎機能低下を促進することや,NAFLDが心血管疾患ならびに慢性腎臓病のリスクを上昇させることも示されており,糖尿病診療において,臓器連関の理解に立脚した複眼的・俯瞰的な視点はますます求められているといえる.
 実診療においては,心・腎・肝疾患の進展に応じて,適切な時期に循環器内科,腎臓内科,肝臓内科の専門診療と連携することが重要である.しかし一方で,続々と明らかになっている糖尿病治療薬の「心・腎・肝」における興味深くインパクトのあるエビデンスを鑑みると,今や「心・腎・肝」の診療は糖尿病診療の重要かつ主要な一部分となりつつある.したがって,糖尿病診療においてこれらの臓器を診る力の必要性が高まっていることに加えて,循環器内科,腎臓内科,肝臓内科との連携についても,改めて考えるべき時期といえるかもしれない.
 本特集では,このような糖尿病診療を取り巻く変化を踏まえて,糖尿病患者の「心・腎・肝」を診るポイントについて,11のトピックをエキスパートの先生方にご執筆いただいた.臓器連関に関する詳細なご解説を皮切りに,糖尿病診療において頻繁に遭遇する「心・腎・肝」に関するトピックを選定し,できるだけ実践的な内容を意識したつもりである.また,診療科間の連携のあり方を改めて整理するために,ご執筆の先生方には,「どこまで診て,どこからコンサルトするか」についても各学会の指針を含めてご解説いただいた.本企画が明日からの糖尿病診療における有益な情報源となり,質の高いトータルケアの実現により糖尿病患者のQOLと生命予後の向上に少しでもつながることを願っている.

土屋恭一郎
(山梨大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科 病院准教授)

1.糖尿病における心・腎・肝連関/宮地康高,小川佳宏
2.糖尿病外来における心不全の診断・フォロー法と専門医紹介のタイミング/坂東泰子
3.糖尿病外来における動脈硬化の診断・フォロー法と専門医に紹介すべきケース/多田隼人
4.糖尿病外来における不整脈の診断・フォロー法と専門医に紹介すべきケース/大西勝也
5.糖尿病外来におけるCKD/DKDのフォローのポイント/久米真司
6.DKDの生活・食事指導/斎藤知栄,山縣邦弘
7.糖尿病外来での腎性貧血の診療ポイント/中川輝政,柿添 豊
8.糖尿病に合併する肝機能障害の鑑別/井上 瑛,安西慶三,高橋宏和
9.非肥満の脂肪肝へのアプローチ/正田純一,矢部義人,押田夏海
10.糖尿病外来での脂肪肝のフォロー法と専門医紹介のタイミング/鈴木雄一朗,榎本信幸
11.NAFLD合併2型糖尿病における抗糖尿病薬の使い分け/河合俊英