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月刊糖尿病 18年10月号
月刊糖尿病 114号(Vol.10 No.9, 2018)

A4変型判/112頁
価格:本体3,200円+税
ISBNコード:978-4-287-82111-4

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特集●糖尿病網膜症の検査と最新治療〜失明のリスクが高い糖尿病網膜症を予防するには?〜

企画編集/小椋祐一郎

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 最近の調査では,糖尿病が強く疑われる人は,国内の成人男性の6人に1人,女性の11人に1人と推定されており,2016年の国民健康・栄養調査では初の1000万人の大台に達したとのことである.WHOの報告では,2040年には世界の糖尿病患者は6億4200万人になると予測されており,その3人に1人が網膜症を合併し,10人に1人がなんらかの視覚障害をきたすと推計されている.眼科臨床においても,糖尿病網膜症は視覚障害の原因として重要な位置を占めている.本特集では,「糖尿病網膜症の検査と最新治療〜失明のリスクが高い糖尿病網膜症を予防するには?〜」として,糖尿病網膜症の疫学,診断から治療について,最新の知見をわが国のエキスパートの先生にご執筆いただいた.
 診断領域では,最近普及しつつある超広角眼底撮影,造影剤を使用せずに網膜血管を画像化できる光干渉断層血管撮影(OCT angiography)を取り上げた.網膜症の治療に関しては,レーザー治療と硝子体手術の進歩に加えて,最近主流となっている薬物療法に関して3名の先生にご執筆いただいた.治療法の変遷と将来の展望についてご理解いただけることと思う.
 30年前には糖尿病網膜症が日本での視覚障害の原因の第1位であったが,最近の調査では第3位となっており,診断と治療の進歩が網膜症による視覚障害者の減少につながっている.このような眼科領域の進歩を内科の先生方にご認識いただくことを意図して,本特集を組ませていただいた.
 しかしながら,昨年に行われたレセプトデーターベースを用いた研究によれば,わが国の糖尿病患者の眼科受診率は48%に過ぎないことが明らかとなった.2人に1人の患者が,糖尿病と診断されているにもかかわらず,眼科を受診していないのである.まず,患者に眼科を受診してもらうことが網膜症による視覚障害者の減少への第一歩である.内科の先生方からも患者への啓蒙をお願いできたら幸いである.本特集が,内科と眼科との病診連携に役に立ち,糖尿病網膜症による視覚障害者の減少につながることを祈念する.

小椋祐一郎
(名古屋市立大学大学院 医学研究科 視覚科学 教授,名古屋市立大学病院 病院長)



1. 糖尿病網膜症の記述疫学/川崎 良
2. 日本における視覚障害の原因疾患としての糖尿病網膜症
 〜本邦初の全都道府県を対象とした視覚障害の実態調査〜/森實祐基
3. 糖尿病網膜症の国際分類/西 勝弘,山下英俊
4. 糖尿病黄斑浮腫の病態と診断/本田 茂
5. 広角眼底撮影による糖尿病網膜症の診断/寺崎寛人,園田祥三,坂本泰二
6. OCTAによる糖尿病網膜症の診断/石羽澤明弘
7. 糖尿病網膜症の進展を予測できるか/野崎実穂
8. 抗VEGF薬による糖尿病黄斑浮腫治療/鳥山佑一,村田敏規
9. ステロイドによる糖尿病黄斑浮腫治療/志村雅彦
10. 糖尿病網膜症の薬物治療の未来/鈴間 潔
11. レーザー治療の進歩/高村佳弘
12. 硝子体手術の進歩/井上 真