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月刊糖尿病 16年8月号
月刊糖尿病2016年9月号

2016年8月20日発売
A4変型判/96頁
価格:本体2,700円+税
ISBNコード:978-4-287-82087-2
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特集●迫りくる低血糖 〜糖尿病治療に伴う低血糖の危険性〜

企画編集/松久宗英
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 近年の目覚ましい勢いで進歩する経口血糖降下薬,インスリンおよびGLP-1受容体作動薬の注射製剤とデバイスは,1型および2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善させ,糖尿病細小血管症の発症進展の抑制に大きく貢献している.一方で,新しい糖尿病治療薬が次々と登場するにもかかわらず,心血管疾患などの糖尿病大血管症の発症抑制はいまだ大きな課題として残っている.その背景として,血糖値の厳格な改善の裏側で,重篤な低血糖の発生リスクが上昇することが関与すると指摘されている.重篤な低血糖は,致死的不整脈や冠動脈疾患の引き金となるとともに,その既往が生命予後の増悪因子であることも示されている.また,超高齢化社会を迎えた我が国において,解決すべき大きな課題として認知症が挙げられるが,その原因としても重症低血糖が関与することが明らかにされている.さらに,低血糖による転倒や骨折といった患者個人のQOLの悪化リスクの増大,また交通事故などアクシデントによる個人を超えた社会的問題としても解決すべき大きなテーマである.
 そこで,糖尿病診療にかかわる多くの医療者は,これまで以上に低血糖のリスクを軽減するために,低血糖の高リスク者の把握,低血糖を抑止する治療の進め方,また患者自身がその予防のために行動できる指導方法について理解を深めるべきである.このため,低血糖の成因と病態への知識をもとに,疫学的研究および救命救急の現場から示される重症低血糖の臨床的および社会的インパクトへの認識を十分深める必要がある.
 本特集では,低血糖に造詣の深い国内のエキスパートの先生方に執筆いただいた.その結果,低血糖の成因,生理的機構と重症化のメカニズム,心血管イベントや生命予後に及ぼすインパクトなど基本的知識を整理し,臨床現場から明らかにされてきた高齢者を含めた高リスク者の特徴を見事に抽出いただいた.そして,その対策として救急の現場で行われている先進的事例の紹介から,予防のために行うべき血糖自己測定や持続血糖モニタリングの活用方法,さらに経口薬からインスリンまで糖尿病治療薬をどのように選択し組み合わせるべきか,加えて患者自身が知るべき知識と対応方法,最後にこれからの未来治療が低血糖を防いでくれる可能性について,詳細に解説いただいた.
 ご多忙のなか,素晴らしい原稿を執筆いただいた先生方に心より御礼を申し上げます.本特集が,読者の方々の低血糖への知識と理解を深め,目前の臨床の場で低血糖予防に少しでも貢献できることを期待したい.
松久宗英
(徳島大学 先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター長)
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低血糖症の成因/内潟安子
低血糖の病態生理/松久宗英
重症低血糖と心血管疾患のエビデンス/後藤 温
重症低血糖とそのリスク/岩倉敏夫
1型糖尿病における低血糖の特徴/大久保佳昭・島田 朗
高齢者糖尿病の低血糖の特徴/荒木 厚
救急医療での重症低血糖症/南 和
低血糖を防ぐ 〜SMBGとCGMの有用性〜/三石純江・西村理明
低血糖を防ぐ 〜経口糖尿病薬治療〜/辻本哲郎
低血糖を防ぐ 〜インスリン治療〜/楠 宜樹・勝野朋幸・難波光義
低血糖を防ぐ 〜患者指導〜/北岡治子
低血糖を防ぐ 〜これからの治療〜/黒田暁生・松久宗英