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月刊糖尿病 13年5月号
月刊糖尿病2014年12月号 SOLD OUT

2014年11月20日発売
A4変型判/96頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82066-7
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特集●老年医学の視点から見た高齢者糖尿病

企画編集/横野浩一(北播磨総合医療センター 病院長)
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 2011年に発刊された『月刊糖尿病』Vol.3 No.8において特集「高齢者の糖尿病管理」の企画編集を担当させていただいた.その特集では,高齢者糖尿病の病態特性から始まり,その臨床的特徴,食事・運動療法,薬物療法,糖尿病合併症,療養指導など,比較的,教科書的な内容を主体に網羅したものであった.それから約3年が経過し,再度,高齢者糖尿病の管理と治療に関する特集の編集企画の依頼があった.
 この間,わが国では超少子高齢社会が進行し,昨年には65歳以上の高齢者は全人口の25 %を超え,一方小児人口はその半分の13 %にまで減少した.平成9年以降,5年ごとに報告される厚生労働省の「国民・栄養調査」によると,平成14年,19年と増加の一途をたどっていた糖尿病の疑いおよび可能性の症例数は24年度調査においてはようやく減少に転じた.しかし,その年齢別割合を見てみると,30歳代から50歳代が大幅に減少する一方,60歳代は減少が軽度であり,70歳代以上の女性ではむしろ上昇傾向が持続している.高齢者の平均寿命や健康寿命の延長が期待されるとともに,高齢者のキーパーソンの不在化により老老介護が加速し,糖尿病のような自己管理が重要な慢性疾患の発症の増加や病状の増悪が懸念される時代ともなっている.
 このような状況下,今回は高齢者医療を支える老年医学の観点からの,高齢者糖尿病の治療や管理に関する特集を企画させていただいた.とくに,高齢者医療において近年とみに注目されている,疾患の発症や病態特性に大きな影響を与えるサルコペニアやフレイルあるいは老年症候群と糖尿病との関連は本誌の読者にとって大変興味深い対象となるであろう.高齢者の薬物療法には青壮年者と比較してより多くの注意が肝要であるが,とくにインスリンに加えインクレチン製剤やSGLT2阻害薬の使用上の留意点に関する記載は,実臨床上,きわめて有用なものと考えられる.また,糖尿病の管理や治療に多大な悪影響を与える認知症,骨粗鬆症,がん,歯周病などの合併症が,糖尿病の存在により特異な発症機構や病態特性を示す可能性も提示されると思う.最後に,わが国で世界に先駆けて行われた高齢者糖尿病に対する前向き大規模介入試験(J-EDIT)研究からのエビデンス,これからもさらに重要となる高齢者慢性疾患に対する包括的機能評価法(CGA)の有用性,そしてあらゆる疾患におけるチーム医療の規範たる糖尿病療養指導のあり方についての項目は,必ずや多くの読者の高齢者糖尿病における診療に役立つものと確信している.
横野浩一
(北播磨総合医療センター 病院長)
特集にあたって/横野浩一
1.超少子高齢社会と糖尿病診療/井藤英喜
2.高齢者糖尿病とサルコペニア・フレイル/佐竹昭介,葛谷雅文
3.老年医学と老年症候群/駒津光久
4.高齢者糖尿病の薬物療法−とくにインクレチン製剤とSGLT2阻害薬−/清水辰徳,山田祐一郎
5.高齢者糖尿病から見たインスリン療法/永田正男,楯谷三四郎
6.高齢者糖尿病と認知症/梅垣宏行
7.高齢者糖尿病と骨粗鬆症/山本昌弘,杉本利嗣
8.高齢者糖尿病と癌/駒田久子,坂口一彦,小川 渉
9.高齢者糖尿病と歯周病/水谷幸嗣,城戸大輔,和泉雄一
10.高齢者糖尿病のトータルマネージメント−J-EDIT 研究から−/荒木 厚,井藤英喜
11.高齢者糖尿病における包括的高齢者機能評価の有用性/櫻井 孝
12.高齢者糖尿病における糖尿病療養指導のあり方/小沼富男