HOME雑誌月刊糖尿病 > 月刊糖尿病14年9月号
月刊糖尿病 13年5月号
月刊糖尿病2014年9月号 SOLD OUT

2014年8月20日発売
A4変型判/96頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82063-6
全ページカラー印刷

特集●境界型糖尿病の診断と治療管理

企画編集/曽根博仁(新潟大学大学院 医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科 教授)
画像をクリックするとサンプルをご覧いただけます
目次[PDF 特集[PDF 特集[PDF 特集[PDF
 境界型糖尿病は,「糖尿病予備軍」という俗称にも表れているように,一般の人にとってはドキリとする一方でほっとしてしまう響きもあるらしい.つまり「まだ本当の糖尿病ではない」という安心感である.しかし,これまでの多くの基礎・臨床研究の結果は,この時期の治療管理こそが,糖尿病のみならず,多くの代謝疾患や動脈硬化疾患の予防にきわめて重要であることを示している.境界型糖尿病は,糖尿病やそれに伴う血管障害がどのように始まり,そして進行するのか,というメカニズムを探るうえで重要な時期でもある.本格的な糖尿病の発症が迫っているこの時期の,インスリン抵抗性や高インスリン血症に代表される代謝異常は,メタボリックシンドロームと重なる部分も大きく,動脈硬化疾患の発症リスクはすでに高い.膵β細胞に対する負荷と共に,肝・脂肪組織・骨格筋などさまざまな臓器においてエネルギー代謝の歪みが見られはじめ,それらが相互に連関しながら,動脈硬化に代表される血管障害へと進行していく.さらにその病態と臨床像は,インスリン分泌能や抵抗性が大きく異なる東アジア人と欧米人とではかなり違ってくるはずである.
 糖尿病に限らずほとんどの生活習慣病は,緩徐かつ連続的に進行するため,本来「診断基準値」や「閾値」を厳密に論ずるのはかなり難しい.境界型糖尿病にももちろん「基準値」があるが,これらは,将来的な糖尿病発症や心血管疾患のリスクという観点から設定され,公衆衛生学的には,それらの疾患の予測に役立てられ,あるいは生活習慣改善のきっかけともなる.今回の特集では,この古くて新しい境界型糖尿病について,各分野の専門家の解説により病態,疫学から対策まで多面的に見ていきたい.
曽根博仁
(新潟大学大学院 医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科 教授)
特集●境界型糖尿病の診断と治療管理
1.インスリン抵抗性と境界型糖尿病の病態−基礎研究の知見より/保坂利男,犬飼浩一
2.舟形研究からみた境界型糖尿病/大門 眞
3.DECODA studyからみた境界型糖尿病/中神朋子
4.わが国と海外の主要な診断基準の比較/能登 洋
5.健診データを活かした糖尿病早期診断と発症予測/平安座依子,曽根博仁
6.久山町研究からみた境界型糖尿病と合併症のリスク/向井直子,清原 裕
7.境界型糖尿病者に対する療養指導のコツ/坂根直樹
8.境界型糖尿病の食事療法/広瀬歩美
9.境界型糖尿病の運動療法/飯田薫子
10.境界型糖尿病に対するα-グルコシダーゼ阻害薬の効果/河盛隆造
11.薬物療法の可能性:α-グルコシダーゼ阻害薬以外の薬物療法の可能性/益崎裕章,島袋充生
12.特定健診・特定保健指導と行政的な取り組み/村本あき子,津下一代

■連載
・糖尿病の運動療法
第9回 運動模倣薬
岩部真人,山内敏正,門脇 孝