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月刊糖尿病 13年5月号
月刊糖尿病2014年5月号 SOLD OUT

2014年4月20日発売
A4変型判/80頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82059-9
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特集●肥満・糖尿病に対する外科的治療

企画編集/北野正剛
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 現在,世界中で肥満人口が増加するとともに,肥満に伴うメタボリックシンドロームなどの肥満関連健康障害が増加し社会問題となっている.高度の肥満症患者(BMI≧35 kg/m2)に対する内科的治療には限界があるとされ,欧米では1950年代から肥満外科手術が行われてきた.また近年の腹腔鏡下手術の導入により,腹腔鏡下肥満外科手術,とくに腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は安全性と有効性を兼ね備えた確立された治療法として世界中で急速に普及している.いずれの肥満外科手術を行っても,良好な減量効果により肥満関連健康障害が高率に治癒・改善することが示されている.また,胃バイパス術やスリーブバイパス術などのバイパス系の手術は,メタボリックサージェリーとして糖尿病に対する効果が注目されている.そのため,中等度肥満症(BMI 30〜35 kg/m2)に肥満外科手術の適応を拡大する動きもある.
 わが国では1980年代に開腹手術として肥満外科手術が導入され,1988年に胃縮小術が保険収載されたが,一般化しなかった.これは,大きな侵襲と高率な術後の合併症によるものと思われる.2000年代になり腹腔鏡下スリーブ状胃切除術などの腹腔鏡下肥満外科手術が相次いでわが国に導入されてきた.そして現在,腹腔鏡下肥満外科手術は全国の15施設程度で年間200例程度施行されるようになっている.とくに腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は2010年に厚生労働省が認める先進医療として承認され,2014年4月に保険収載された.この分野では東アジアの地域でも遅れているわが国であるが,これをきっかけに少しでもその遅れを取り戻せると期待している.
 肥満症に対する外科的治療は内科的治療に比べ,大幅な減量効果から肥満関連健康障害の高率な治癒・改善が期待できるが,実地臨床における肥満症の管理では内科と外科の連携が非常に重要である.外科的治療後のリバウンドを防ぐためにも,内科的治療の術前の再導入や術後に継続することは肝要と考えている.また,外科的治療の適応などについて内科と外科で協議し,治療を進めていく必要がある.そのため,肥満症の治療を進めていくうえで,チーム医療の重要性が広く知られている.
 今回の特集では「肥満・糖尿病に対する外科的治療」というテーマで,わが国で実際に外科的治療に携わっておられる内科と外科のエキスパートの先生方に解説をいただいた.肥満症治療における外科的治療の適応やチーム医療を含め,わが国における外科的治療の問題点を明らかにしていただいた.さらに肥満外科手術の効果,とくに糖尿病に対する効果やそのメカニズムについて詳細に示していただいた.また,わが国における胃バイパス術の問題点や,腹腔鏡下スリーブ状胃切除術や腹腔鏡下スリーブバイパス術の実際の手技を説明いただいている.さらに,わが国で内視鏡的胃内バルーン留置術を最も多く経験されている今津先生に内視鏡的胃内バルーン留置術についてご説明いただいた.本特集が,わが国における肥満症に対する外科的治療,とくに腹腔鏡下肥満外科手術の導入・普及に役立てば幸いである.
北野正剛
(大分大学長)
特集●肥満・糖尿病に対する外科的治療
1.肥満症に対する外科的治療の現状/太田正之,北野正剛
2.肥満外科治療における適応と禁忌/正木孝幸
3.肥満症に対する外科的治療とチーム医療/斎木厚人
4.種々の肥満外科手術の減量効果と糖尿病に対する効果/山本 寛,谷 徹
5.糖尿病に対する外科手術(メタボリックサージェリー)/内藤 剛,田中直樹,海野倫明
6.胃バイパス術と胃癌/大城崇司,岡住慎一,加藤良二
7.腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の手術手技と効果/佐々木 章,若林 剛
8.腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の糖尿病に対する効果/卯木 智,前川 聡
9.腹腔鏡下スリーブ状胃切除術とグレリン/宮崎安弘,瀧口修司,高橋 剛,黒川幸典,山﨑 誠,宮田博志,中島清一,森 正樹,土岐祐一郎
10.腹腔鏡下スリーブ状胃切除術+十二指腸空腸バイパス術(スリーブバイパス術)の手術手技と効果/関 洋介,笠間和典
11.内視鏡的胃内バルーン留置術:日帰り治療を含めて/今津浩喜