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月刊糖尿病 13年5月号
月刊糖尿病2013年12月号 SOLD OUT

2013年11月20日発売
A4変型判/96頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82055-1
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特集●食後高血糖改善薬による糖尿病治療

企画編集/谷澤幸生
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 食後高血糖が改めて注目されている.何故か.いくつかの要因があると思われる.まず第1に,糖尿病と動脈硬化性合併症(心血管イベント)との関係がより重視されている.CGMが普及し,食後の高血糖を評価する新しい手段を得た.また,新しい治療薬の登場により,より安全に,効果的に食後高血糖の制御が可能になったことも大きい.
 慢性的な高血糖は種々の糖尿病合併症をきたす.なかでも,糖尿病網膜症,腎症,神経障害に代表される細小血管障害は血糖値に依存し,血糖コントロールによる発症,進展の予防効果も大きい.一方,動脈硬化性大血管障害は,糖尿病合併症としてもその重要性を増しており,糖尿病患者でそのリスクが大きいことは明白であるが,血糖コントロールによる制御効果は細小血管障害に比べると小さい.加えて,境界型を示す耐糖能異常者においても明らかにリスクの上昇が認められる.このような患者では血圧,脂質など他のリスク因子に加えて,とくに,食後高血糖との関連が疑われている.
 では,食後高血糖の臨床的意義を裏付けるエビデンスとしてはどのようなものがあるのだろうか.食後高血糖の制御の結果,どのようなアウトカムの改善が期待できるのか.臨床効果を裏付ける理論的根拠,実験的根拠は何か.そもそも,食後高血糖をどう定義し,どう診断するのか.治療の効果はどのように評価したらよいのか.
 インクレチン関連薬が臨床の場に登場し,糖尿病治療が大きく変化している.DPP-4阻害薬はすでに経口糖尿病薬の首座を占めつつある.その作用機序からして,単独では低血糖を生じることが少なく,食後の血糖制御も可能である.SGLT-2阻害薬は近く臨床の場に登場する.尿糖排泄促進により血糖値を低下させるという,今までになかった作用機序を持つ.これら新規治療薬が使用可能となり,食後血糖改善系薬であるα-グルコシダーゼ阻害薬やグリニド薬の役割はどう変化した(する)のであろうか.食後高血糖に対する治療は,どのような患者に,どのようなステージで,どのような方法を用いて行うのが最適で,最大効果を生むのであろうか.
 臨床の場では,新たな進歩があるごとに,新たな疑問や課題も生じる.本特集では,上記のような課題や疑問に対して,各分野のエキスパートから現時点での答えを伝えていただいた.もちろん,食後高血糖の制御は,糖尿病治療の一部であることは言うまでもない.

谷澤幸生
(山口大学大学院 医学系研究科 病態制御内科学 教授)
特集●食後高血糖改善薬による糖尿病治療
特集にあたって/谷澤幸生
1.食後高血糖とは:定義,成因と臨床的意義/田中 逸 他
2.食後高血糖は有害か:臨床的エビデンスに基づく検証/山田 悟
3.食後高血糖は有害か:基礎研究からの示唆/野見山 崇 他
4.食後高血糖改善薬の代表的エビデンスの解釈と注意点/能登 洋
5.食後高血糖管理におけるCGMの適応・解釈・有用性/森 豊
6.薬剤による食後高血糖治療(総論):どの患者にどの方法が適切か/西尾善彦 他
7.薬剤による食後高血糖治療:α-グルコシダーゼ阻害薬/奥屋 茂
8.薬剤による食後高血糖治療:グリニド薬/駒津光久 他
9.薬剤による食後高血糖治療:DPP-4阻害薬/岡田洋右
10.薬剤による食後高血糖治療:GLP-1受容体作動薬/寺内康夫 他
11.薬剤による食後高血糖治療:SGLT2阻害薬/前川 聡
12.インスリン治療における食後血糖管理:有効性,限界と対応/弘世貴久 他