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消化器内科 第31号(Vol.4 No.6,2022)

2022年6月27日発売
A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92031-2

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特集●潰瘍性大腸炎 内科診療の即戦力を身につける!―急増する患者の日常診療に求められる必須アップデート―

企画編集/中村志郎
(大阪医科薬科大学 第二内科 専門教授)
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 日本において炎症性腸疾患(IBD)の患者数は年々増加の一途をたどり,難病研究班で実施された近年の疫学調査で,潰瘍性大腸炎(UC)は約22万人,クローン病(CD)が約7万人と報告され,IBD 30万人時代が到来しています.特にUCは患者数の増加が著しく,以前に比べ高齢者における発症もめずらしくなくなってきています.かつては希少疾患とされていましたが,通常の内科診療の場においても日常的に遭遇する疾患となってきており,消化器内科医や総合内科医にとっても,本疾患に対する初期の的確な診断や治療的対応は,プライマリーケアの観点からもニーズの高い時代がやってきています.
 IBD領域では2002年に,初めての生物学的製剤,すなわちTNF-αに対するモノクロナール抗体のインフリキシマブが保険承認され,それを皮切りとして,内科治療が急速に進歩しています.特にUCではベースライン治療の強化とともに,従来にはなかったステロイドに代わる有効な代替療法が数多く登場し,難治例においてもステロイドからの離脱とその後の長期の寛解維持が可能となり,内科治療の成績は飛躍的に改善されつつあります.このような内科治療の進歩に伴い,治療目標も患者さんの症状のコントロールから,より長期予後の改善に関連する病変治癒へと高度化され,それを達成する具体的な方略としてIBD領域においてもTreat to Target戦略が推奨され,世界的に普及してきています.しかし,このような内科治療成績の改善は,一方で長期経過例とそれに付随した炎症由来の大腸癌合併例の増加という新たな課題を臨床現場にもたらしている側面もあります.
 そこで今回の特集号では,実際に潰瘍性大腸炎の患者を診療する現場において遭遇するさまざまな臨床的局面で,求められる最適な診療対応について,日本を代表する炎症性腸疾患の専門医から最新情報にもとづいたエッセンスを解説いただき,明日からの診療にすぐ役立つ即戦力を獲得してもらえる内容を念頭に企画を行わせていただきました.この号のタイトルに目がとまり,立ち読みから購入してくださった先生方の日々の診療に役立つことを期待しております.
 診療,研究ならびに学会活動などで大変お忙しい中,企画をご理解いただき,快く原稿の作成をお引き受けいただいた全国の著名な先生方,また,このように有意義な企画の機会を与えて下さり,完成にまで尽力を下さいました月刊消化器内科編集部の皆様に,心から厚く御礼申し上げます.


中村志郎
大阪医科薬科大学 第二内科 専門教授



1. 潰瘍性大腸炎の病態と治療薬―多様な内科治療の作用機序を知る―/仲瀬裕志
2. 内科診療に必要な最新の治療戦略―Treat to Target戦略とバイオマーカーを理解する―/新﨑信一郎
3. 潰瘍性大腸炎の内視鏡診断と鑑別疾患―正確な診断と状況判断に必要な所見を逃さない―/向坂秀人,久能宣昭,阿部光市,船越禎広,石橋英樹,平井郁仁
4. 潰瘍性大腸炎 治療指針とガイドライン―最新版の改訂ポイントを押さえる―/長沼 誠
5. COVID-19流行下の内科診療とワクチン接種における注意点―今一番必要な情報を学ぶ―/松浦 稔,久松理一
6-1. 基準治療① 5-ASA製剤と局所製剤の最適化―熟知し使いこなす!―/安富絵里子,井口俊博,平岡佐規子
6-2. 基準治療② 副腎皮質ステロイドとチオプリンの最適化―有効性と安全性の面から副腎皮質ステロイドとチオプリンによる治療をBrush upする―/松岡克善
7-1. Option治療① 難治例に対する抗TNF-α抗体製剤とJAK阻害剤のベストユース/北條 紋,小林 拓
7-2. Option治療② 難治例に対するカルシニューリン阻害剤/血球成分除去療法のベストユース/柿本一城,木下直彦,小柴良司,宮嵜孝子,中村志郎
7-3. Option治療③ 難治例に対するIL-12/23阻害薬/α4β7インテグリン阻害薬のベストユース/杉本 健
8-1. 潰瘍性大腸炎のspecial situation① 妊娠・出産・高齢/渡辺知佳子
8-2. 潰瘍性大腸炎のspecial situation② 腸管外合併症/猿田雅之
9. 潰瘍性大腸炎の総合的な診療におけるサーベイランス内視鏡の最適化/渡辺憲治
10. 潰瘍性大腸炎 外科治療の適応とタイミング/小金井一隆,辰巳健志,黒木博介,小原 尚,杉田 昭