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BEAUTY 18年創刊号
消化器内科 第2号(Vol.2 No.1,2020)

2019年12月25日発売
A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92002-2

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特集●慢性便秘症診療ガイドライン時代の便秘診療

企画編集/中島 淳(横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室 主任教授)
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 わが国は未曽有の高齢化社会を迎えており,高齢化に伴い便秘患者も増加の一途をたどっている.これまで便秘=QOL低下の病気と捉えられてきたが,近年のエビデンスで便秘患者は明らかに生命予後が悪いことが明らかになってきた.とくに排便時の怒責はイベントトリガーと呼ばれ,心血管イベントの引き金になることが周知されるようになった.また,慢性呼吸器疾患では排便時の低酸素発作が問題となり,慢性腎臓病では便秘がその進展増悪のリスク因子であることが明らかにされ,腸腎連関として注目されている.
 便秘はあらゆる診療科の医師が診なければならず,その対処に苦慮することも少なくない.パーキンソン病や精神疾患,妊婦などでは便秘は必発といってよいだろう.また高齢化を背景に,これまであまり注目されることのなかった直腸肛門障害の患者も増加してきている.このように全診療科横断的な疾患である便秘の難治例を,一手に引き受けなければならないのが消化器内科医である.
 現状では,大腸内視鏡をすることで器質性疾患の除外までは,世界先端レベルの医療レベルが担保されているといってよい.ただし,内視鏡で異常がなかった場合,次にどう鑑別して治療すべきかは甚だ心配な状況である.これまでは治療薬も乏しく放置されておかれたことが多かったが,近年エビデンスレベルの高い新薬が続々わが国で発売になり,状況は一変した.消化器内科医は,便秘の診療に精通すべき状況になったわけである.
 慢性便秘患者の診たては複雑で難しく,治療は一筋縄ではいかない.しかし,便秘診療は奥が深い.まずどうやって診断するかも,検査方法としての武器が少ない.治療薬は豊富になったが,その長所短所はまだわからない部分が多い.たかが便秘されど便秘といった状況だろうか.
 本企画はこのような状況を鑑み,消化器内科専門医として最低限知っておきたい最新の知識をピックアップして,第一線の執筆者による解説を試みたものである.必ずや,明日からの消化器内診療に資するものと確信している.
中島 淳


1.なぜ,便秘症を治療するのか−慢性便秘の治療の意義−/千葉俊美
2.便秘症の病態−正常の排便生理から異常病態まで−/眞部紀明,春間 賢
3.便秘症診断のポイントと便秘症の分類/秋穂裕唯
4.慢性便秘症における生活習慣の改善/山本貴嗣
5.慢性便秘症の既存治療とその問題点−酸化マグネシウムと刺激性下剤−/水上 健
6-1.慢性便秘症の治療 ルビプロストン/江口考明
6-2.慢性便秘症の治療 エロビキシバット/尾髙健夫
6-3.慢性便秘症の治療 リナクロチド/山本さゆり,舟木 康,小笠原尚高,佐々木誠人,春日井邦夫
7.緩和領域における便秘治療−ナルデメジンの効果を中心に−/川崎 俊,東口髙志
8.難治性便秘の診断と治療−STC,megacolon,CIPOなど−/三澤 昇,大久保秀則,中島 淳
9.便排出障害の治療−バイオフィードバック療法など−/安部達也
10.便秘治療のアルゴリズム/中島 淳,結束貴臣,大久保秀則