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レジデント9月号
AB判112頁
価格:本体¥2,000+税
ISBNコード:978-4-287-81120-7
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特集必ず身につけたい頭痛診療のスキル
企画編集/古和久典
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 頭痛は,日常診療の中でしばしば遭遇するありふれた訴えの1つである.感冒や寝不足,二日酔いなどが原因で頭痛が生ずることは誰もが一度は経験していることであり,一生の間に一度も頭痛を感じたことがない人はまれであると思われる.一方で最初の訴えは「頭が痛い!」だけで歩いて来院したのに,一歩間違えば危なかったとのエピソードも先輩医師から聞いたことがある.このような頭痛にいざ対応しようと考えると,その原因の多種多様さの前にたじろいでしまい,鎮痛薬を処方する以外に何をしてよいのか,何をしておかないといけないのか戸惑うことも少なくない.
 日常の頭痛診療において留意しておくべきポイントは,
 1)二次性頭痛を見逃さないこと
 2)片頭痛を正しく診断すること
 3)適切な診断に基づいた治療や対応によって,頭痛の慢性化を避けること
の3点に集約できる.
 他に頭痛をきたす原因を有している場合に二次性頭痛といい,受診患者の10%程度を占めることが示されている.その中でも,先送りができない緊急性の高い疾患や進行性の疾患による二次性頭痛を見逃すわけにはいかない.どのような頭痛や症状があるときに何を考えておかないといけないのか,どこまで検査をするとよいのか,検査で異常がないときにどのように考えて患者指導するとよいか,そのスキルについて解説をしていただいた.
 頭痛そのものが疾患である場合に一次性頭痛といい,その代表が片頭痛と緊張型頭痛で,日本で実施された疫学調査では840万人,2200万人の患者が罹患している.一方で,実際に医療機関を受診している頭痛患者の多くが片頭痛であること,最初から片頭痛と診断された患者は多くないことも明らかとなっている.どのようにすれば,片頭痛を正しく診断し,患者にわかりやすく説明して,適切な治療を提供できるのだろうか.片頭痛を中心に一次性頭痛の対処法について解説をしていただいた.
 3か月を超えて月15日以上にわたり頭痛を呈している状態を慢性頭痛と表現し,そうなることを慢性化という.その多くには,慢性片頭痛および薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)が含まれていると考えられている.慢性化の機序はどのように考えられているのか,危険因子は何がいわれているのか,それらを理解することが,回避する手立てとしても重要となっている.身につけておいてほしいポイントについて紹介していただいた.
 最後に今後登場が期待されている治療薬や治療デバイスと,今年2018年1月に改訂された頭痛診断のルールブックにあたる『国際頭痛分類第3版』についても解説していただいた.
 本特集によって,実際に受診した患者の頭痛診療の一助となり,1人でも多くの患者が満足していただけるようになることを応援している.
古和久典
(松江医療センター 神経内科 診療部長)
特集必ず身につけたい頭痛診療のスキル
1. 二次性頭痛を見逃さない頭痛診療/永田栄一郎
2. 雷鳴頭痛の患者さんが来院したら/菊井祥二・竹島多賀夫
3. Walk-in SAH(くも膜下出血)を見逃さないスキル/米田 浩
4. 片頭痛を見逃さない極意;一次性頭痛の鑑別法/海野佳子
5. 片頭痛の病態機序と診断 ・治療のスキル/工藤雅子
6. 緊張型頭痛,TACs,「その他の一次性頭痛疾患」/伊藤康男
7. こどもの頭痛の診かたと治しかた/桑原健太郎
8. 女性のライフスタイルと頭痛/渡邉由佳・平田幸一
9. 一次性頭痛に対する新たな治療の選択肢/柴田 護
10. 頭痛の慢性化と薬物乱用頭痛;その病態と対処法/今井 昇
11. 頭痛診療ルールブック「国際頭痛分類第3版」の改訂/清水利彦

連載
◆患者さんとの接し方
 ・第115話 患者さんの質問……星野達夫
◆ヨルレジ……編集/森 信好
 ・第17回 徐脈……望月宏樹
◆慶應循環器内科カンファレンス……監修/福田恵一
 ・第72回 ステロイド抵抗性心臓サルコイドーシスの1例……家田真樹