HOME雑誌レジデント > レジデント17年3&4月号
レジデント3&4月号
17年4月20日発売
AB判128頁
価格:本体¥2,000+税
ISBNコード:978-4-287-81108-5
全ページカラー印刷
特集明日から実践!心療内科アプローチ
企画編集/山田宇以
画像をクリックするとサンプルをご覧いただけます
目次[PDF 特集[PDF 特集[PDF 連載[PDF
  Engels がBiopsychosocial アプローチを提唱後,身体面でだけでなく心理社会面も配慮した全人的医療が意識されるようになりました.その流れから近年日本の医学部の卒前教育でも医療面接などが導入されるようになりました.ドイツではほとんどの医学部に心身医療科が存在しますし,米国でも医学教育として行動科学が重視されていることと比較すると,残念ながら日本の全人的医療の卒前教育はまだまだ発展途上なのが現状です.
 卒後に関しても十分な教育があるとはいえず,レジデントたちからも全人的医療について「忙しくて十分な時間がない」「具体的にどうしていいかわからない」などの声をよく聞きます.心理社会面への介入=長時間話を聞かないといけないという負担,実践法を教わらないことが主な理由のようですが,同じような理由で全人的医療に苦手意識を持っているレジデントも少なくないのではないのでしょうか? 一方研修を進めるうちに患者さんのパーソナリティー,家庭環境など心理社会的問題で治療が停滞するなど全人的医療の必要性を実感する機会も多いと思います.忙しい医師ほど日常診療を円滑にすすめるために,限られた時間で良好な医師−患者関係の構築する技術が必要です.しかしその技術は指導医が系統だって教えることはなく,先輩のやり方を見様見真似でしてみたり,我流でなんとなくというのが一般的で,他の手技,診療技術と比べると伸び悩んではいないでしょうか?
 心療内科は本来ストレス関連の身体疾患,心身症を専門的に診る診療科ですが,その基礎はBiopsychosocial による全人的医療にあります.“心理療法をする内科”として,主に内科医として臨床をする上での心理社会的問題に対応する実学として日本の臨床現場にあわせて発展してきました.前述のような限られた時間の中で医師患者関係を築いたり,患者のニーズや解釈モデルを理解するといったことはまさに心療内科の基本的技術で,得意分野です.しかし心療内科医は全国的に不足しており,残念ながらこれらの技術が普及していません.独学をするにも,高名な先生方が書かれている専門書はレジデントには少々ハードルが高く,難解かもしれません.そこで日本心身医学会では医学生・レジデント向けに心療内科的全人的医療の教育,普及を図る若手ワーキンググループを立ち上げました.今回の執筆担当者は各大学,教育病院でまさに最前線で臨床をしながらレジデント教育に携わるこの若手ワーキンググループのメンバーの先生方が中心です.レジデントが入院・ER などでみるCommon な精神疾患に対する対応法,患者とのコミュニケーションの方法,行動変容の促しかたなど徹底した現場主義の全人的医療,心療内科アプローチの入門書となればと今回の特集を企画いたしました.少しでもレジデントの方々の全人的医療の実践に少しでも役立てば幸いです.
山田宇以
(聖路加国際病院 心療内科 副医長・Educational chief/三重大学家庭医療学 家族システム・
心理社会医学フェローシッププログラム 非常勤講師/ 明治学院大学心理学部 大学院 非常勤講師)
特集明日から実践! 心療内科アプローチ
Ⅰ. 総論
1. 心療内科の考え方、アプローチとは/波夛伴和
2. 心と体のつながり 〜病態評価と心身相関の気づき〜/松田能宣
3. 明日から使える心理療法/酒井清裕・松岡弘道
Ⅱ. 心療内科アプローチで診る精神疾患
1. 身体疾患としてのせん妄/市来陽子・山田宇以
2. 身体症状に潜むうつ病/山家典子・稲田修士
3. パニック症/阪本 亮
Ⅲ. 実践編
1. 検査で異常がない!/佐藤康弘・福土 審
2. 治療に積極的でない患者/網谷東方・網谷真理恵
3. 痛みがなかなか治らない/都田 淳
4. がん患者への接し方/蓮尾英明
5. やせへのアプローチ/田村奈穂・戸田健太
6. 不定愁訴を診る/水野泰行



連載
◆ヨルレジ……編集/森 信好
 ・第6回 ショック……石井太祐
◆患者さんとの接し方
 ・第103話 患者さんから見た,よい医師とは−医は仁術……星野達夫
◆循環器内科 目からウロコ Q&A
 ・第12回 心臓のCT……田宮栄治・村川裕二
◆慶應循環器内科カンファレンス……監修/福田恵一
 ・第61回 病棟オーベンの心に残った症例……香坂 俊