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月刊レジデント14年1月号
レジデント7月号 SOLD OUT
15年6月10日発売
AB判128頁
価格:本体¥2,000+税
ISBNコード:978-4-287-81088-0
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特集研修医が身につけるべき輸液の理論と実践のポイント
企画編集/深川雅史
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 私が学生のころには,あまり輸液に関して教育を受けた記憶がなく,むしろ医師になって実践を積んでいくなかで,後付けで理論を身につけたように思う.現在では,電解質異常とともに,卒前・卒後のカリキュラムに必ず含まれるようになり,さまざまなわかりやすい教科書や総説が出版されている.
 それでは,現場の医師たちにとって,輸液は簡単でわかりやすいものになったのだろうか? 残念ながら,自信をもってイエスと言える人は少ないのではないだろうか? それは,電解質異常がホルモンを測るだけではアセスメント出来るわけではないことからも,明らかであろう.
 この理由は何だろうか? 体液のバランスと組成を保っているのは腎臓であり,驚くべきダイナミックレンジで,インプットに対応してアウトプットを調節する.単純にこの能力を凌駕するボリュームと内容が身体に負荷されることはほとんどないと思われるが,そのときの腎臓が元々どのような働きをしようとしているかによっては,体液の異常が生じうる.これは,病歴や身体所見を注意深くとらないかぎり,容易にはみえてこない.
 もう1つの重要な点は,輸液が負荷されることによって,腎臓の反応が変わるということである.輸液量や負荷量の推算式というものをみたことがあると思うが,安全係数がかかっているなど,案外アバウトなものであることに驚かれた人もいるだろう.輸液を始めた後も,それに対して身体がどのような反応をしているか,変化をきちんと感じ取ることがきわめて重要である.
 この特集では,学生や初期研修医には輸液の基本を正攻法できちんと学んでもらうことを,後期研修以降の人にはこれまでの経験を理論づける助けとなることを,目的としている.そのために,各章を独立して読んでいただいても理解できるように,重要なことは繰り返し解説されているが,すこしずつ視線が違う解説がされているので,より理解が深まることを期待したい.
 皆さんが,輸液は“むずかしい”ではなく,“おもしろい”と感じるようになっていただければ幸いである.
深川雅史
(東海大学医学部 内科学系 腎内分泌代謝内科 教授)
特集研修医が身につけるべき輸液の理論と実践のポイント
1. 体液の恒常性はどうやって保たれているか:腎臓のダイナミックレンジと役割/門川俊明
2. 輸液の選択に役立つ病歴と身体所見,ルーチン検査の活用:変化をどう捉えるか/安田 隆 他
3. 尿の情報から腎臓の働きを読む/小松康宏
4. 輸液と利尿薬の棚からどれをどうやって選ぶか/木村守次
5. 栄養も考えた輸液:経腸栄養・経口摂取にどうつなぐか/矢野彰三
6. 間違った輸液:いつどうやって気づき,補正するか/種本雅之
7. 具体例を通じて学ぶ輸液
  a. 脱水/山内 淳 他
  b. 糖尿病性ケトアシドーシス/林 道夫 他
  c. 急性腎障害/土井研人 他
  d. 高ナトリウム血症・低ナトリウム血症/要 伸也 他
  e. 高カルシウム血症/横山啓太郎
8. 最近の進歩は輸液の常識をどう変えたか/柴垣有吾 他



連載
◆Toxicovigilance−毒を診る−……監修/水谷太郎
 ・第24回 トキシドロームを覚えていますか?………阿部智一
◆患者さんとの接し方
 ・第83話 新妻の一喝「手を止めて,話す人の顔を見なさい」
  -患者さんの気持ちがわかる医師のDNA……星野達夫
◆みるみるわかる心血管のはなし
 ・第4回 胸水と肺うっ血は違うのか?→病態生理,背景疾患の整理………田宮栄治・村川裕二
◆慶應循環器内科カンファレンス………監修/福田恵一
 ・第44回 重症心不全を合併した薬物療法抵抗性閉塞性肥大型心筋症に対し
  経皮的中隔心筋焼灼術を施行し,著しい改善を認めた一例……前川裕一郎
ピンチの研修医………編集/岡田 定
 ・第10回 血糖コントロール………北田彩子