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																| 臨床循環器CIRCULATION 14年第4号 | 
															 
															
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																	 14年7月25日発売 A4変型判96頁 価格:本体¥2,500+税 ISBNコード:978-4-287-83030-7 
																		全ページカラー印刷 
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																企画編集/磯部光章 
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										 循環器疾患の成立には,炎症が重要な役割を果たしている.19世紀後半から20世紀初頭にかけて細菌学が発展し,感染症としての感染性心内膜炎や感染性大動脈瘤が存在することが明らかとされたことに,この領域の研究は始まるといってよい.20世紀後半には,細胞生物学,分子生物学を基盤として免疫学が発展し,細胞性免疫の機構が次々に明らかとなっていった.サイトカインなどの液性因子,Toll Like Receptorなどの諸受容体,分化しつつ統合的に機能分担する免疫担当細胞の発見と機能解明は,単に免疫学の領域にとどまらず,循環器領域においても心筋代謝や負荷に対する適応現象が循環器疾患の病態形成に深くかかわっていることを次々に明らかにしていった. 
											 生体は常に外界,体内からのストレスにさらされ,それに対して様々な機転でホメオスタシスを保っている.循環器疾患を引き起こす心肥大,動脈硬化,血栓症などはストレスに対する不適切な応答,過剰な反応,あるいは不十分な応答の結果として起きる形質変換であるという概念が明らかにされてきた.例えば動脈硬化は本来,酸化ストレスなどによって血管に生じる微小な障害に対する修復機転として炎症がおき,血管修復のためにコレステロールが沈着するといった適応現象として始まるものと考えることができる.長期間にわたって起こる過剰な生体防御反応が,血管の閉塞や血栓症を引き起こしていく. 
											 20世紀の医学研究は,臓器から,細胞,分子,遺伝子と要素研究に展開していったが,-osis,-pathyで表現される適応とその破綻の機序をみていくためには,多細胞,多臓器の連関のなかで統合的な理解をしていかなければならない.研究のパラダイムシフトが起きつつあるといっても過言ではないだろう. 
											 従来,炎症や免疫反応が病態の主体である心血管疾患としては,急性心筋炎,心拒絶反応,感染性心内膜炎,大動脈瘤などが代表的な疾患として挙げられてきた.いずれも心血管系を病変の場とする急性炎症性の疾患である.一方,循環器疾患を全身の慢性炎症を基盤とした適応現象の一部分として捉える視点も必要である.動脈硬化や心不全,不整脈,高安動脈炎,全身疾患の心臓合併症などの循環器疾患の病態を解明するために必要な基盤は慢性炎症であり,臓器間クロストークにあるともいえる. 
											 本特集はこのような観点から,多様な循環器疾患を炎症というひとつのキーワードで結び,全体として全身性の急性炎症,慢性炎症がどのようにして循環器疾患という表現型を示すかを考える,といった視点で企画したものである.循環器疾患の新たな側面を浮き彫りにすることができれば幸甚である. 
											
												磯部光章(いそべ みつあき) 
												東京医科歯科大学医学部 循環制御内科学 教授 
											 
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												1.心筋炎/中岡良和 
												2.心臓サルコイドーシス/森本紳一郎 他 
												3.膠原病における心血管疾患/中村浩士 
												4.歯周病感染と心血管疾患/青山典生 
												5.メタボリック症候群における慢性炎症/田中由美子 
												6.急性冠症候群/野出孝一 他 
												7.粥状動脈硬化/佐田政隆 他 
												8.循環器疾患におけるIgG4関連疾患/石坂信和 
												9.高安動脈炎/吉藤 元 
												10.血管ベーチェット病/廣畑俊成 他 
												11.敗血症と心筋障害/原口 剛 
												12.感染性心内膜炎/大門雅夫 他 
											 
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