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BEAUTY 第00号
BEAUTY 第63号
美容皮膚医学BEAUTY 第63号(Vol.8 No.5, 2025)

A4変型判/88頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-91063-4
全ページカラー印刷

特集●思春期の肌トラブルを知る,診る

企画編集/島田辰彦
 社会環境や生活環境が急激に変化するなか,子どもの健康課題は複雑,多様化してきた.とくに思春期は,心身ともに小児から成人になるために急激な変化をする時期で,身体の成長に心がついていかずに不安定な気分になりやすい時期でもある.他人との違いに敏感であり,外観に影響のある皮膚病に罹患した子どもたちの苦悩は想像以上である.
また,インターネット,SNSなどの発展により,皮膚病やスキンケアに関する情報を簡単に入手できるようになったが,その内容は玉石混合であり必ずしも正しい情報ばかりとは言い難く,そのような内容を信じて間違ったスキンケアや対応を行って生じる皮膚トラブルを日常診療で診ることが増えてきている.
そのような現状を変えるには,形成外科や美容皮膚科の先生にはなじみが少ないと思われる学校保健活動が大切である.学校保健は,世界に誇れる我が国独自の活動であり,文部科学省のホームページを見ると「学校保健とは,学校における保健管理と保健教育」と載っており,皮膚科的には,皮膚疾患の早期発見と適切な治療および皮膚科に関する正しい知識の普及となる.
思春期に問題となることの多い皮膚疾患として,アトピー性皮膚炎については,新しい治療薬剤から学校生活の注意点までを,思春期以降にほとんどの子どもが一度は罹患するニキビに関しては,罹患した子どもたちの悩みやガイドラインを準拠した治療の現状での課題についてまとめていただいた.また,テストで緊張すると答案用紙が汗で滲んで破れてしまったりする手掌多汗症や,薄着をする夏場の脇汗で悩まされる腋窩多汗症をはじめとする原発性局所多汗症と関連するニオイや汗疱などについて解説をお願いした.さらに,きれいになろうと思って行ったのに正しいスキンケアに対する知識をもたないために発症するおしゃれ障害,アルバイトなどで手荒れを生じると経皮感作されて食物アレルギーを引き起こす危険性,爪の役割を考えずに爪を切って引き起こされる爪疾患,正しいサイズの適正な靴を正しく履かないために生じる足のトラブルについても紹介してもらい,皮膚病を引き起こさないためスキンケアについても解説をお願いした.
今回は,各分野に造詣の深い方々に執筆をお願いしたので,皆さんの知識のアップデートの一助となれば幸いである.また,執筆をお引き受けくださった先生方にこの場を借りて感謝申し上げる.


島田辰彦
(島田ひふ科 院長)



1.皮膚科の学校保健活動/鈴木洋介
2.子どもたちのおしゃれによる皮膚トラブル/岡村理栄子
3.手荒れと経皮感作/二村恭子
4.爪のケアと疾患/安木良博
5.足育/今井亜希子
6.ニキビ/林 伸和
7.原発性局所多汗症/藤本智子
8.アトピー性皮膚炎―学校生活での注意点など―/大川 司
9.アトピー性皮膚炎の外用療法/竹内 聡
10.アトピー性皮膚炎の全身療法/江川形平
11.スキンケア/野村有子
12.スキンケア製品―思春期のスキンケアの基本と指導のポイント―/松中 浩
13.太陽紫外線防御対策/島田辰彦